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25年のコンテナ荷動き、コロナ禍以来の減少。米関税が影響。ドゥルーリー予測

英海事調査会社のドゥルーリーは24日、コンテナ輸送市場の最新動向に関するウェビナーを開催した。米国の関税政策などによって、世界経済の減速懸念が強まる中、同社は今年の世界のコンテナ取扱量が前年比1%減となると予測。2020年のコロナ禍による落ち込みと同水準となる見通しを示した。地域別では、北米港湾のコンテナ貨物取扱量が25年に5・5%減、26年も4・6%減と低迷が続く一方、大中華圏は25年に4・8%減となるが、他市場へのシフトにより、26年には1・6%増と回復に転じると分析している。

 ドゥルーリーは、現在の市場環境について「新型コロナウイルス発生当初よりも不透明な状況で、こうした中での市場予測は極めて限定的なものにとどまる」と指摘。米国向け輸送量の減少によって他国間の貿易が増加し、港湾混雑やスペース不足といった一時的な混乱が生じる場合でも、「その恩恵は限定的であり、全体需要の縮小を補うには至らない」との見解を示した。

 供給過剰リスクについては、米国向けの欠便(ブランクセーリング)による調整が進むとみられるが、これは短期的な措置に過ぎず、中長期的には船隊規模の縮小が避けられないと分析。係船や老齢船の解撤(スクラップ)、さらには新造船の納入延期や契約キャンセルが生じる可能性があるとした。

■入港料を課徴金転嫁

 米国が中国関係船に対して導入する新たな入港料について、ドゥルーリーは、「中国系船社にとっては実質的には市場締め出しに等しい料率が課される」との見解を示した。アジア発北米西岸向け航路において、中国建造船を使用する中国系以外の船社が入港料を荷主に全額転嫁した場合、40フィートコンテナ1本当たりの追加コストは約180ドルに上ると試算。これは、平均で9000TEU型、1万5000ネットトンの船舶が、全て40フィートコンテナで85%積載し、年間6・5回航海した場合を前提としており、現行の上海―ロサンゼルス間のスポット運賃(ドゥルーリーのWCI〈ワールド・コンテナ・インデックス〉)の約7%に相当する。入港料は今後段階的に引き上げられ、28年には338ドルに達する見通しだ。

 一方、中国のCOSCOや香港のOOCLが同様に全額を荷主に転嫁した場合、25年10月時点での追加コストは40フィートコンテナ1本当たり511ドルに達し、WCI比で19%に相当する見込みだ。28年4月にはこの負担額が約1400ドルまで膨らむ見通しで、中国系船社が競争上大きな不利を強いられる可能性が高いと指摘する。

 こうした状況を受け、今後は多くの船社が米国航路から中国建造船を排除し、韓国や日本などで建造された船舶へと代替する動きが進むとみられる。一方、老齢船の解撤を巡っては、中国以外で建造された船舶の資産価値が上昇することで、解撤されずに運航を継続するケースが増え、市場の不均衡を招く懸念があるとした。25年3月時点で建造から20年以上が経過したコンテナ船の船腹量は約350万TEUに上るが、このうち中国建造船はわずか6%にとどまっている。非中国建造船を優遇する政策が続けば、老齢船の解撤による供給調整の選択肢が限られる可能性もあるとした。

 また、アライアンスの運用を巡っては、入港料の対象とならないアジア―欧州航路を中国系船社が担当し、米国航路を他船社が分担する案も想定されるとした。

■供給元の見直しも

 ドゥルーリーが実施した荷主調査では、大手企業の多くが中国以外に供給元や生産拠点を移すことを検討していることが明らかになった。同社は、中国以外から米国向けコンテナ貨物量が増加すると予測し、インド、ブラジル、ベトナム、マレーシア、ポーランド、トルコといった国々が、その恩恵を受けると分析している。

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